親なるもの断崖曽根富美子
曽根富美子先生の作品「親なるもの断崖」には、直吉、という番頭が当初から登場します。直吉は、北海道室蘭・幕西遊郭の富士楼に属する、腕利きの番頭です。
この漫画の序盤、松恵、梅、武子、道子の四人の少女たちが幕西遊郭にやってきましたが、姉妹の松恵と梅のうち、姉の松恵はついてすぐに自殺してしまいます。姉の死を受けて、芸妓の道もあったのに、自ら女郎に下ることを決意したお梅。彼女を、幕西遊郭一の女郎に仕立て上げたのが、この直吉なのです。
曽根富美子先生は本当に引き込まれる描写が多く、どんどん読み進めていくうちに、直吉はもしかしてお梅に気があるんだろうか?と思えるような描写が少し出てくるのですが、物語が進むうち、やはりそれが正解であることが明かされます。直吉は番頭という立場にありながら、商品である女郎の梅を愛していたのです。
しかし梅が愛したのは、危険思想の持ち主と軍にマークされていた中島聡一。梅は彼を足抜けを計画します。直吉はもちろん番頭という立場上、計画を知っていれば引き止めたでしょう。…いえ、もしかしたら止めなかったかもしれません。なぜなら、中島聡一と梅がそれぞれ捕らえられたとき、直吉はこう思うのです。「あの男と死ねるものなら、死なせてやりたかった」と。
この愛の描きかた。曽根富美子先生、すごい…と思います。こんなに深い愛情を持ちながらも、直吉は梅と結ばれることはありませんでした。
梅の身請け話を阻止していたところに、少し直吉の迷いが現れているのかもしれませんが、結果、直吉は梅の身請けと同時に姿を消してしまうのです。
エピソードとしては小さなものですが、曽根富美子先生の描く「親なるもの断崖」には、見守るしかなかった切ない愛も描かれています。



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